教授が復活したようなので意地になって書く。

悪い癖だとは思っているのだが、どうも私には強引に何かに凝ろうとする傾向がある。以前はとろみブームを予見し、とろみのついた食べ物をひたすら食べていたが、善戦むなしく結局ブームは来ず(google検索「とろみブーム」)、結局あきらめてしまった。

最近は雑煮だ。

どの甘味処を見てもメニューの端あたりに雑煮がある。あれを見ると、いつも「ああ、雑煮っていつでも食えるんだな」という妙な安堵感と同時に、「食ってしまってよいのかな?」と、ちょっとした不安を喚起する。袈裟を着てスクーターに乗っているお坊さんを見たときとほぼ同質の不安感。それに、雑煮は正月のあの特別感があってこそ旨いものではないのか。普段から食べるようになると、あの正月の歓喜は減少してしまうのではという懸念もある。

そんな感じで、甘味処の雑煮にくいくいと袖を引っ張られるも、長い間食べることがなかったのである。

ところが先日、ひょんなことから甘味処に行くことになり、「えいや!」とばかりに雑煮を注文してみたところ、これがまた、上記のような言い訳云々抜きにしてうまかったのである。焼いた餅の香ばしさ、上品でふくよかな出汁、餅は食べ進めるにつれ、その身を出汁に溶かし、徐々に風味を変えていく。



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門前仲町 いり江の雑煮。


それ以来、甘味処を見つけたらスッと入って雑煮を注文している次第。どこも大体外れはない。そういう意味でヒット率ではカレー並みだ(まずいカレー屋はなかなか探すのが難しい)。唯一の欠点は「量が少ない」ということだが、そんなことは些細なこと。2コ頼めばよい。金銭的に余裕がなければ替え玉ならぬ替え餅にチャレンジしてもよい。

そういうわけで、これからは雑煮です。雑煮が来ます。来年には雑煮専門店ができます。そして、各地の多様な雑煮を食べることの出来る雑煮スタジアムがナンジャタウンに出来ます。採算が取れなくなって閉店してしまってもそれは閉店ではありません。グランドフィナーレです。発展的解消です。

さあ、手に手をとりあってめくるめく雑煮ワールドへ耽溺しようではありませんか!ビバ餅!


泣きながら「つげ義春!」と叫ぶ

HOW LOW キティ

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つげ義春は、文章もとてもいい。
どうしようもない鄙びた温泉、路地、哀れな旅の行程を淡々と、しかも唐突に描くその筆致は、そのような状況に同化しようとする、この人なりのふまじめな誠意が見て取れて実に気持ちがいい。

旅行エッセイ本である「貧困旅行記」はそのような紀行がいやというほど書かれている名著だ。この本は何度も読んでいるが、いつ読んでも侘しさがくすぐったいという、実に独特の気分になってしまう。

特にその気持ちを増幅させ、「あ〜あ」とか「そうだよねぇ」とか「いや、そうか?」と様々な感情が渦巻くものの、口から出てくるのはそういった感嘆詞だけになってしまう、という(長い形容だが・・・)1ページがある。それがこれだ。



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「住んでみたいと思った塩川鉱泉奥の無人の堂」


この写真とこの一文だけで、なんだか彼の全てが表されてしまっているような、そうでもなく、ものすごくはぐらかされているような、何がなんだか分からない気持ちになってしまう。あー、としか声が出ない。

そういった漠とした感情は浸るだけでも気持ちの良いものだが、最近は次第に「一度でいいからこういったキャプションを書いてみたい」という良くない欲望も生み出して来たりした。

そういうわけで本日はその欲望を押し売りしたいと思います。とどけ!私の思い!



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得体が知れなくて怖気をふるった犬の遊び道具





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見ただけで食欲を無くした芝2丁目のから揚げ弁当





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その突端につらぬかれてみたいと思った南砂のY字路





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何がなんだかよく分からなかったのでそのまま通り過ぎた森下の立ち食いそば屋。




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人にあげたものの、本当は自分のものにしたかったフィンランドみやげ






分かってはいたが、私には無理だ。

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テレビの位置は 斜め上方45度

12月1日に放送を開始するBS11が気になる。先日行われたキックオフパーティに行ってきた知人から話を聞いたが、どうもよく分からない。

  • BSデジタルを視聴する、比較的金銭に余裕のある団塊の世代を対象にしている。


  • アクティブシニア。


  • キックオフパーティのメインゲストは伊集院光など。


  • ここまではいい。伊集院光は有名どころだし、お金を落としそうな団塊の世代を対象にしたテレビ局が出てくるのもよく分かる。しかしその知人からさらに情報を引き出してみると、イメージが徐々に混沌としてきた。

  • キックオフパーティには桑名正博、美勇士親子も来場


  • メイン番組はニュースと韓国ドラマ


  • ゴールデンタイムはなぎら健壱や西川のりおやモト冬樹などが3時間の生放送。


  • 「なぎら健壱3時間」は豪華だ。これだけは見たい。

  •   -毎週、立石から実況中継という形でお願いしたい。
      -あるいは、ずっと自転車に乗っているというのはどうだ。

  • 西川のりおは経済や政治について語ることに意欲満々とのこと。

  •   -見たくない。

  • ウリは3D映像。

  •   -3D映像を見るには専用のテレビとメガネが必要。
      -メガネはこんなの


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      -振り切れたデザインがよい。

  • 主要株主はビックカメラ



  • 書けば書くほどよく分からなくなってきたが、「60歳くらいの男性が3Dメガネをかけて立体映像の西川のりおを見る」という映像は、なんだか「アクティブシニア」という言葉とは比べものにならないほど存在感がある。他にはない、強引な説得力があり、その潔さに胸のすく思いすらする。

    がんばってほしい。そういう思いと同時に、300円分のポイントが残っているビックポイントカードを早く使い切らなきゃな、と、そんな思いにも駆られるのだ。


    歯痛にインタビュー

    先日は歯痛のため1時間しか眠れないなど、どこのガキだというようなことをしでかしていた。奥歯の虫歯を舌で確かめながら目は右斜め上を向く。無駄なのは分かっているが、じくじくと痛む歯をそのまま放置しているには忍びなく、舌はレロレロと虫歯の周りを這い回る。

    私は昔から歯が弱かった。歯科医に行く度、「本当に気をつけなければ、あなたの歯は遠からずなくなります」などと言われる。そのことが自分の中で大きな恥となり、歯医者から遠ざけさらに虫歯を悪化させてしまう。そのツケが今しっかりと来ているということか。

    歯痛を感じるたびに、現在のような治療法の確立していなかった江戸時代の人はどのようにして歯痛に立ち向かっていたのかということが気になってしまう。

    調べると、第13代将軍の家茂は残っている歯の31本のうち、実に30本が虫歯であったらしい。生来のエナメル質の弱さにもその原因があったらしいが、時の将軍がそのような状態では、民間の人間の治療などはたかが知れているだろう。事実、当時の主な治療法は「神頼み」であったらしい。それは治療ですらない。

    よく「時代が違えばあの人は・・・」という言葉を聞くが、もし私が江戸時代に生まれていたら、たぶん歯痛でうずくまっている。


    帰りしな

    あっちの道を行っても、こっちの道を行ってもどうしてもローマに着いてしまいます。

    ならば、道の途中でお眠りなさい。


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