「Make up all night!朝までずっと!」

「原爆投下70周年記念」って聞くと、強い違和感がありませんか。

まあ、「記念」という言葉は、何かを思い出として残しておくことなので、本来問題ない言葉なんですが、基本的に思い出に残すのは良いことなので、「おいおい、原爆投下がうれしかったことかよ」と反射的に思ってしまうためなんでしょう。

で、最近とある化粧品のCMを見て、それに似たような違和感を覚えました。

「Make up all night!」

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マリエさんの出ている24hコスメという化粧品のCMです。

CM動画はこちらから見ていただきたいんですが、Dancing all nightのメロディーで

「Make up all night 朝までず〜〜っと〜〜〜」

と歌っています。
このCMを見るたび私はどうしようもない違和感を感じてしまいます。具体的には、以下のような状況が思い浮かんでしまいます。


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今日は夜の10時から渋谷でパーリーナイト!

「今日こそ絶対たけるくんを落として見せるダス!」

よし子は腕を天に突き上げて気合を入れる。パーリーピーポーたる自分を彼をにアッピールしてノックアウトするため、昨日通販で手に入れた24hコスメで変身するのだ!

さあ、日も暮れた夕方6時、メイクにとりかかる。まずはいつもの化粧水→乳液からハンドプレス!そして新品の「24hコスメ パウダーファンデーションセット」を取り出し、バフバフとやり始めた!


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「おかしいダス・・・、全然ファンデーションが乗らないダス・・・」

こんなことでは「顔全面が北島三郎」と呼ばれる原因となった激しい毛穴がカバーできない!

「たけるくん・・・待ってるダス・・・!」

破けんばかりにパフのスピードMAX!しかしファンデーション顔の上をボロボロとこぼれ落ちるばかり。既に9時、間に合うかどうかギリギリ!パウダーファンデーションセットは、もはやあと少ししか残っていない。

「仕方ないダス!」

ボロボロこぼれ落ちるファンデをスプレーのりでようやく固めると、次にチーク。のりで白くなってしまった表面をほのかなピンク色と上品なラメで隠し、健康的でキュートな印象に!


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頬の一番高いところを中心に、丸く弧を描くようにチークをのせていく。

「おかしいダス・・・、頬全体が血の赤ダス・・・」

ブルース・リーのごとく頬の血を親指でぬぐい、ベロリと舐める。再度チャレンジ。やっぱりどうしても血の赤だ。

・・・

それから格闘すること7時間。木工用ボンド等を駆使し、なんとか人前に出れる顔になったよし子。急いでバッグにケイタイと財布を詰め込み、家を飛び出した!

「たける君、待ってるダス!」


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とまあ、「一晩中かけて朝まで化粧をしている」人の歌に聞こえて仕方がないのです。

分かっています。メイクアップというのは化粧をした状態のことであって、化粧をするという行為のことではないのは。でも、こういう印象を持っている方、多いのではないでしょうかねえ。


フランスで掬う湯豆腐



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これは、2年くらい前に母親が60前にして初めての海外旅行でフランスに行った際に買ってきたおみやげだ。

小さいクシャクシャの紙袋を手渡された私は、おざなりにテープで止められた口を開けてこれを取り出す。何かに使う物然としたたたずまいはあるが、その方向性がつかめなかった私が

「これなんなん?」

と聞いたところ、

「あれよーね。湯豆腐とかするときにこれ使うと便利でしょうが。豆腐すくいやすそうだったから買ってきたんよ」

と、母はこともなげに答えた。

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今晩は湯豆腐。


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昆布を1時間くらい水にひたして、近所の豆腐屋で買ってきた木綿豆腐を適当な大きさに切って入れる。

それを10年くらい使い続けているポン酢とかんずりと小口ネギの定番の組み合わせのたれに、その2年前に仲間に加わった金色の網を使って豆腐を投げ込む。

多分、というか絶対に違う使い方をされているこの派手派手しい金色の網の使い心地はすこぶるいい。すこぶるいいが、使うたびに市川海老蔵にカニスプーンを持たせているような強力な違和感が自分を襲う。


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