夢 2
トルコで新型インフルエンザが発生したとのこと。
その報に幾分浮ついた町を歩いていると、数年来会っていない女性の友人が何かの行列に並んでいるのを発見。
近寄って話しかける。たわいもない近況を話すと「そういえば、メールアドレスが変わった。」と彼女。「それならこんな時に一石二鳥の方法がある」と私。
私はふところから注射器を出し、腕にブスッ。注射器にピーッとややひかえめに血を抜き取って少しだけ振ると、注射器内に入っていた血の色がだんだん薄くなっていく。同時に中にペラペラのガムの包み紙のようなものが出てきた。
注射器の頭を抜き、中からその紙をピッと抜き取る。ポラロイド写真を乾かすように空中でペラペラと泳がすと徐々に字が浮かび上がってくる。そう、この注射器は血を採ることによってメールアドレスとインフルエンザの両方の情報が取れるのだ。
「joyu@motaimasako.com」というメールアドレス。その横に「■」。陰性ということだ。
よかったなあ、じゃあまたなあ、それにしても何このメールアドレス、と声をかけて帰る。
遠くから振り返る。まだ並んでいる。行列の先頭も最後尾もよく見えない。
家に帰ると自分のPCを立ち上げて、IMEの辞書に「も」と入力すると「もたいまさこ」と出るように登録し、満足。
#
したところで目が覚めた。
それにしても夢というのは異常に忘れ去られる。
大学院時代に大脳生理学の授業を受けていたころのある朝、夢からハッと起きたことがあって、起きた瞬間はその一部始終を大体覚えていた。覚えているという自覚があった。しかし30秒もしないうちにその記憶の塊がハラハラハラと崩れていって、すべて跡形もなく消え去ってしまった。
あの時ちょうど短期記憶とか長期記憶とかそういったことを学んでいて、ああ今の夢というのはたぶん短期記憶の中に貯蔵されたボロボロとした大きな塊が全く反復されずに忘却されてしまったのだ。夢という大きな塊だったから忘却というものが自分に「ハラハラ」といった擬音を抱かせるほどに大きな音をたてさせたのだ。などと思った。
まあ、結局たぶん違うんですけど。
その報に幾分浮ついた町を歩いていると、数年来会っていない女性の友人が何かの行列に並んでいるのを発見。
近寄って話しかける。たわいもない近況を話すと「そういえば、メールアドレスが変わった。」と彼女。「それならこんな時に一石二鳥の方法がある」と私。
私はふところから注射器を出し、腕にブスッ。注射器にピーッとややひかえめに血を抜き取って少しだけ振ると、注射器内に入っていた血の色がだんだん薄くなっていく。同時に中にペラペラのガムの包み紙のようなものが出てきた。
注射器の頭を抜き、中からその紙をピッと抜き取る。ポラロイド写真を乾かすように空中でペラペラと泳がすと徐々に字が浮かび上がってくる。そう、この注射器は血を採ることによってメールアドレスとインフルエンザの両方の情報が取れるのだ。
「joyu@motaimasako.com」というメールアドレス。その横に「■」。陰性ということだ。
よかったなあ、じゃあまたなあ、それにしても何このメールアドレス、と声をかけて帰る。
遠くから振り返る。まだ並んでいる。行列の先頭も最後尾もよく見えない。
家に帰ると自分のPCを立ち上げて、IMEの辞書に「も」と入力すると「もたいまさこ」と出るように登録し、満足。
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したところで目が覚めた。
それにしても夢というのは異常に忘れ去られる。
大学院時代に大脳生理学の授業を受けていたころのある朝、夢からハッと起きたことがあって、起きた瞬間はその一部始終を大体覚えていた。覚えているという自覚があった。しかし30秒もしないうちにその記憶の塊がハラハラハラと崩れていって、すべて跡形もなく消え去ってしまった。
あの時ちょうど短期記憶とか長期記憶とかそういったことを学んでいて、ああ今の夢というのはたぶん短期記憶の中に貯蔵されたボロボロとした大きな塊が全く反復されずに忘却されてしまったのだ。夢という大きな塊だったから忘却というものが自分に「ハラハラ」といった擬音を抱かせるほどに大きな音をたてさせたのだ。などと思った。
まあ、結局たぶん違うんですけど。