結局

何の盛り上がりもないまま、企画が終了してしまいました。

というわけで、書き上げました。地球のがっかりしかた第2回 夢見るピラミッド。

どうぞ

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昨日、酒を飲んで帰ろうとしたところ、激しい枯渇感にさいなまれて24時間営業のスーパーに飛び込みました(それが食欲なのか喉の渇きなのかは分からない)。山のようにあふれる商品を見ながら自分の求めるものはなんだろうとものすごく悩み、1時間くらいさまよいました。極彩色の商品に囲まれ朦朧としてくる意識。

気付いたらふえるわかめパックを手にしてレジに並んでいました。確かに見つけたとき「これだ!」と思って嬉々として手を出したのは覚えているのですが、買ってみて白いビニール袋に入ったそれを見るとやってしまった感が激しくうずきました。

自殺の一方法として、増えるわかめを1kgくらいザーッと飲み込んで水をがぶ飲みする、というものを考えたのですが、いかがでしょうか。胃が破裂するか、先に吐き出すか。


矢折れ刀尽き

地球のがっかりしかた第2回を作成しましたが、1ページ目で力尽きました。
とりあえず来週中には完成の予定ですが、自分への強制力のためアップします。途中まで見たい方は

どうぞ


誠実さ

取引先のビルで打ち合わせを終えた後。
エレベーターホールに行ったら清掃員さんが気だるそうに立っていた。
「プヒー」という深い息を吐きながらエレベーターの「下」ボタンを押下し、

「下・・・かぁ」

と小声で言った。

しばらくの無言の時間が過ぎ、下行きのエレベーターが来た。一緒に乗るなり彼はまたつぶやいた。

「エレベーター・・・かぁ」

3Fのボタンを押すと、彼はぐったりとエレベーターの壁にもたれて再度プヒーと息を吐いてこう言った。

「疲れたなぁ・・・」

3Fで降りていく彼の背中を見ると「sincere」というロゴが入っていた。
綺麗にその背中の言葉がはまっていて、私はほんのりとした高揚感を手に入れた。

sincere
【形】 誠実{せいじつ}な、正直{しょうじき}な、思ったままを言う、心からの、本心{ほんしん}からの、偽りのない、真剣{しんけん}な


補足

秋葉原のヨドバシカメラはこのインナーイヤーヘッドホンを何十と並べた試聴ブースを作っています。

豊富な種類のヘッドホンを吟味できて非常にありがたいブースではあるのですが、ズブリと耳奥まで差し込むインナーイヤーヘッドホンはややまずいのでは?と思います。ヘッドホンの音の出る穴をみるとびっしりと黄白い物体がこびりついています。

まあ、耳垢マニアの方には天国のようなところかもしれません。

インナーイヤーヘッドホンのすぼまった穴に口を当て、すぃっと。

書いていて気分が悪くなりました。



物欲日記

社会人になり、しばらくたった。フーテンまがいのことをやっていたころからは考えられないのだが、「お金が余る」という現象が起こってきた。そうなると、音関連しか投資したいものがないわけでして。

SHUREというメーカーのE4Cという高級インナーイヤーヘッドホン。再現性の高い(音マニアの言葉の受け売りだ)音質と完成されたデザインで評価の高い逸品である。視聴すると確かに頼もしい存在感だ。耳へのフィット感も素晴らしい。物欲がうずいて思わず購入してしまった。2万円台後半。

この商品、こちらに書かれてあって知ったのだけど、ブリスターパックという包装形式で非常にパッケージが開け辛いらしい。とはいってもまあ頑張ればなんとかなるだろう、と楽観的な予測をして都内の家電量販店で購入した。イヤホンだからもちろん帰りがけに自分のポータブルオーディオに接続して聞きたい。当然の欲求だ。ワキワキしながらトイレに持って入る。

上部のここから開けてね!という感じのところを持って左右に開いてみる。開かない。パッケージの前部と後部を綴じている糊付け部分を中心に責めてみる。開かない。再度上部のここから開けてね!という感じのところを前後に強引にずらしてみる。パキリと音を立てて取っ手みたいなところが割れた。

タマネギを剥き続ける猿の気持ちというのはこういうものだろうか。いや、まだ中身が見えるだけに希望があるのだろうか。それとも中身が見えるだけに猿以上に絶望的なのだろうか。

ガックリとうなだれてトイレを後にする。バキバキになったパッケージがカバンから覗く。ボロいヘッドフォンで聞くあがた森魚はいつも以上に音が震えていた。

家に帰ってもハサミやカッターなどの事態を好転させるアイテムはそろっていなかった。仕方ないので中華包丁でバツン、バツン、バツン、バツンと4辺を切り取った。まな板に痕がつくほどに強く、強く。

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音楽はいつもノートPCで聴くので、PCの音を良くしたいと思っていた。ヘッドフォンジャックからアンプにつなぐという形式にはさすがに限界を感じていた。

そこで、RolandのUA-4FXというUSB音源ユニットを買った。出す音、入れる音の音質が飛躍的に向上するらしい。音質の向上だけでなく、真空管アンプシミュレータなど様々なエフェクトが用意されている。ホウホウ。物欲がうずいて思わず購入してしまった。1万円台後半。

つないでみて分かったが、この機械、相当マシンパワーを要求される。現状のPCで普通にこの音源から音を出すとブジブジとしたノイズばかり出てくる。OSのいろんなエフェクトを消してなんとか聞ける音になった。でも、何か他に作業をすると音が信じられないほど悪くなり、ブジブジとしたノイズが入る。

どうにかできないかと試行錯誤してみると、「ノイズカット」という機能があることに気付いた。よし、これに賭けてみよう。

ノイズカットを入れるとさらにマシンパワーを要求されてブジブジが激しくなった。


warterproof

職場の60歳になる、よき先輩社員が声をかけてきた。

「四万十川ちゃん、四万十川ちゃん。」

「なんでしょう。」

「これ。これいくらすると思う?」

腕を差し出す。布のバンドの腕時計だ。見たこともないメーカー名が記されているし、文字盤に何の変哲もなく、お世辞にも高そうには見えない。しかし意外なところにその時計の価値を上げる特徴があるのかもしれない。そこの辺りも勘案して、

「うーん、4800円くらいでしょうか?」

ブー!

よき先輩社員はしたり顔で私に不正解の旨を言葉と顔であますところなく伝え、、ニコニコしながら言ってきた。

「980円でした!」(へー!)「しかも10気圧まで耐えれるらしいんだ。」

そりゃすごい。

「で、10気圧って何?」

「いや、気圧の単位で測るって確か水の中のことだと思いますけどね。」

「水なの?」

「ええ、たぶん」

よき先輩社員はうーん、と悩み始めた。

「どうしたんですか」

「いやね、水につけちゃいけないって書いてあったから」

説明書を見せてもらうと確かにその通りだった。10気圧まではいけるけど、水につけてはいけないらしい。何に使うんだ。その耐久性。先輩社員の肩が心なしか元気なく下がった。私は励まそうと、検索技術を駆使して下記の言葉をかけた。

「大丈夫ですよ!地球の空気が10倍重くなってもその時計は生きてるんですから。地球の気体が全部ラドンになっても大丈夫です!」

先輩社員の顔が少しだけ明るくなった。いいことをしたと思う。


腐らせた

私、「腐らせた」という企画をやっているだけによく物を腐らせるのですが、一番腐らせたくないものといえば、肉もですが一番は豆腐でしょう。

たっぷりと水分を含んだ豆腐を冷蔵庫でじっくりじっくり一ヶ月腐らせると、それはそれは大変な臭いになります。

白くて無表情の凛としたあの姿はもはや見るかげもない。双肩をくずし身体中にメッシュを入れ、うつろな体でこちらに目を向けてくる。そしてとびのくほど生理に訴えかける臭いを放つ。あの白い体のどこにそんな力があったのだろう。その落差はまるで「下妻物語は実はね、ゴスロリの深田恭子が、映画のラストでヤンキーに感化されて改心して、小作農になるんだよ。」って聞かされるのと同様のショックと悲しみを私にもたらすのだ。

でも、ちょっと脳幹あたりがゾクゾクするからみなさんもおためしあれ!



自分の印象

週末は実家に帰省していた。

晩ご飯を食べ終え、まだ談笑している両親を置いて風呂に入る。
自分の部屋の寂しげで暗いユニットバスに比べ、家の風呂は広い。思わず「バフー」と声が出てしまう。

風呂で行う一通りの作業を終え、さっぱりとして風呂を出た。リビングまで戻るとまだ両親が談笑しているのが聞こえる。思わず戸の前で立ち止まり、盗み聞きをしてしまう。

「あの子は本当に勉強をしない子じゃったねえ。」

「ほうじゃのう。」

どうやら私の昔話をしているらしい。いっそう入りづらい。

「高校までは何もしなくてもそれなりの成績を残しとったけど、さすがに最後は落ちこぼれましたねえ」

「ほうじゃのう。」

確かに落ちこぼれて一浪したが、余計なお世話である。

「あと」

まだあるのか。

「セロハンテープが好きな子じゃったねえ」

なんだそれは。

「夏休みの工作は全部セロテープばっかりじゃし、一人暮らししとるときに破れたズボンも全部セロテープで補修しとったしねえ。」

確かに事実だが、それでセロハンテープが大好きな子になるのか。

「ようセロテープ食べとったしのう」

分かった!確かに俺はセロハンテープ大好きな男だった。確かにセロハンテープは甘くておいしかった!素材は樹脂だから健康の問題もそんなになかった!だから、もうこれ以上言わないでくれ!

ガチャーンとわざとらしく音を立てて戸を開け部屋に突入すると、両親はにこやかに他の話題へと移行していった。


名言3

テニスをしたければラケットを持てばいいじゃない。

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こういうのは圧倒的に古いですね。すみません。



名言2

ドライアイスがなければ薪を燃やせばいいじゃない。


名言

加湿器がないならスチームアイロンを使えばいいじゃない。



何も言わないでカントリーライス

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とある居酒屋に行ったところ、このようなメニューがあった。全体的に分かりやすいオーソドックスなメニューだが、ただひとつ、この左端あたりにある「カントリーライス」だけがよく分からない。

店内をせわしなく動いている店員のおばちゃんに聞いてみる。

「カントリーライスって何ですか」

「ああ、それ今ないの。」

「えー。いや、どんなのですか?」

「いや、今ないから〜」

そういいながらおばちゃんは去っていく。「ないから〜」の「ら〜」の部分から声がスーッとフェイドアウトする。

いっしょに飲んでた友人と目を見合わせた。「なぜカントリーライスが何かを言わない」お互いの目にそんな光がともっている。自然とカントリーライスの何たるか、で話が熱くなる。

「まず、ピラフは確実だろう。そこにこう肉が乗っている。」
「いやいや、マメを煮込んだのが乗っててちょっとピリ辛に仕上げてあるんだよ」
「トウモロコシは確実に入っているだろう。」
「それより、絶対ジャガイモのほうが必要だ。」
「まあ、少なくとも、生命維持に不可欠な行為に適した物体であることは確かだ。」
「それってつまり食べ物である、ってことだよね。」

一向に回答は出ない。会社に来ても気になるので、60歳になるよき先輩社員にも聞いてみた。すると一言。

「あれじゃねえか?シチューぶっかけ。」

あー、やべえ。食いたい。カントリーライスはそれで決定でいいです。
さすが先輩です。去っていく背中がいやに頼もしい。