壁マニアにもいくつかの趣味の分類があって、その模様に対して美しさを感じている人もいれば、私のように配置に美しさを感じるタイプの人もいる。
壁そのものというよりは、その壁とそこに配置された換気扇とか室外機とか配線とか前に置かれた自転車とかもう使わないものとか、大きいものや小さいものが絶妙な位置関係で目の前に呈示される、そういうのが好きなのだ。
実際その配置が素晴らしいものに出会うと、まずギョッとする。「ギョッとする」はそろそろさかなクン専門の言葉になってきているような気がするが、いやいや、びっくりして目がニュッと2~3mmくらい突き出る感じをよく表しているではないか。おや、でもそうなると「ニュッとする」でいいんではないか。ニュッとする。うむ。
いやまあ、それはともかく、そう、私は配置が好きだ!配置!配置!
今回の物件は、端正な壁の佇まいの中に、絶妙な角度で配置された換気扇がまるで中から外をうかがうような表情を見せている。換気扇から出るコードは繊細さを感じさせるものでもあるし、二本が交錯するところの柔らかいライン。写真に対して説明過剰なのはなんとも野暮な気がしてきたのでもういいや。説明はいらないともかく一人でも多くの人が壁と配置を好きになってほしいのである。