私の知らないスマホカバーの世界

IDC Japanによると日本国内の第一四半期のスマートフォン販売台数はAppleが67%を超えるシェアを叩き出しているそうだ(元記事)。

まさに猫も杓子もiPhoneという状態で、過去、国内でここまで多くの人が同一デザインのものを持ち歩いている例というのはないのではないか?他にはなんだろう。あったっけ?

一様に多くの人が同じソレを持ち運ぶ中、隆盛を極めているのがスマホカバーだろう。正確な統計かどうかは分からないが、ある調査によると、実に8割近くがスマートフォンに何らかのカバーをつけているという(「スマートフォンケースに関する調査」 PDF注意)。8割ってよく考えたらすごいが、確かに実感に近い。

スマートフォンの利用者側としては

  • 使用頻度が高く、人に見られることが多い
  • みんな同じものを持っているので、どこかで差別化したい
  • 高価だから落として壊したら怖い。

生産者側としては

  • 上記のようなスマートフォンユーザーの希望があり
  • 多くの人が同じデザインのものを所有している=生産コストを抑えられる。
  • 統一のフォーマットで多様なデザインができる
  • 大きな平面の余白がある=作りやすい。未経験でも参入しやすい。デザインしやすい

といった点から爆発的に広まったのだろう。そんな感じで市場が伸びていくと、雨後の筍のようにカバーに多様性が生まれてくる。高級感のあるものから衝撃に強いもの、可愛らしいもの、あるいは受け狙いのものなど、人の求めるものに従って混沌としながら種類を増やしていく。お台場ダイバーシティは行ったことないけど、たぶん多様性は楽しいことだと思う。

そして、そういう多様性は、「自分は求めていないけど、誰かが求めている物」との出会いを推進する。これが自分にハッとした驚きを与えてくれる。

その驚きに最初に意識的になったのは、立て続けにてっぺんに謎の直方体がついたカバーを見かけてからだ。

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なんだ、これは、と思った。香水の瓶を模したものであることを理解するのにかなり時間がかかった。それにしてもここまで大胆に突起をつけるのか?しかし、職場の女性に聞くとかわいいらしい。ふむ。そういうものなのか。

興味を持ったので、それ以外のデザインについても調べてみることにした。そしたらある。自分の狭い想像力の範囲外のものがたくさん。例えばこんな感じだ。

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メリケンサック風。中学時代のヤンキーにこれで何度か小突かれたことがあるが、とても痛かった。握り込みやすい、というメリットがあるんだろうか。落としにくそうだが、人に危害を与えそうなイメージをスマートフォンに付加している。でもプラスチック製でちょっと優しさをアピール。空き地で猫を拾う不良、みたいな感じだ。
あと左下の握ってる図、iPhoneが逆さだ。ここにも電話としてではなく、あくまで武器として使え、というコンセプトを感じる。

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バッグ風。「携帯性」という言葉について少し考え込んでしまった。

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コスメ風。きっと私では100%考え付かないデザイン。女性が化粧品そのものに対して持っているイメージがどんなものかよく知らないが、とにかく握ったら色が付きそうだ。

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10徳ナイフ風。ながらスマホで相手を油断させておいていきなりグサッといく、という秘密武器としての用途を想定しているのだろう。

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ホームボタンを一度押すだけで時間は分かるというのに、その背後に蓋付き時計をあしらうという思い切ったデザイン。無用の美を感じさせる。

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「電源もアプリもいらないので書きたいときにすぐ書ける」というコピーがいい。なんていうか、納得しそうになる本末転倒さが。

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個性的なデザインを求めるロックなあなたに!

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栓抜きと合体。これはアイデアだな、と思った。耳かきとか爪切りとか、欲しいときに無い、ってなるものと組み合わせるのはいいかもしれない。問題は、いつもそれが必要ってわけじゃないからだいたい邪魔、ってことだ。

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電卓風。これは実際には電卓の機能はないようだ。まさにこのカバーを持っている人がいたので話してみたら、デザインの可愛さと、電卓に退化した感じが面白いから、とのことだった。なるほど。

通常の製品であれば、最初の商品選択時から自分のフィルターがかかっているので、別の文化に触れることが少ない。

しかしスマートフォンカバーは老若男女貧富趣味嗜好問わず持っている画一的なスマートフォンのためのオプションなので、探し始めると10代女性向け、20代男性向け、かわいいもの好き向け、シックな大人向け、と多様な商品があまりカテゴライズされないで出てくる。

30代、男、都内在住、サラリーマン、多部ちゃん好き、と大雑把に括られる私が知らない膨大な趣味嗜好の世界がそこに広がっている。
さながら、同じくらいの誕生日という理由で多様な人が一同に会する運転免許更新の場のようだ。自分がいかに情報や人をフィルタリングして生きているか、ということを痛感するのだ。そして、きっとその出会いに対する驚きが自分の思考と嗜好を豊かにしてくれる。

貴方の知らないスマホカバーの世界はすぐそばにある。さあ、電車の向かいに座ってる40代女性がしているカバーはどんなだい?

ジロジロ見てんじゃねえよ。


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