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肉、食べてますか!私はそんなにだけどまあまあ食べてます!

スーパーの精肉コーナーを歩いたり、テレビのCMを見たりしていると、お肉をすすめる曲が流れていることが多いですよね。これ、じっくり聞いてみると、それぞれ独特の味わいがあるものです。

子供じみた無邪気な食欲と、血を求める獰猛さと、生命を断つことに対するほのかな罪悪感。「でも、そういうもんだよねぇ」という一種のあきらめと思考停止。そんな肉に関わる思考にポップなフレーズでくさびを打ち込む。それがこの「肉ソング」でございます。

本特集ではそんな陽気な肉ソングを集めて、私なりにレビューしてみたいと思います!私は曲を集める行程で既に胸焼けしていますが、まずは第1弾、どうぞ!

牛ちゃんマンボ 山崎バニラ

活動弁士山崎バニラの若きころのマスターピースとして名高い曲です。2002年発売、山崎さんの実質的なデビューシングルなのだそうです。映像内では「歌手の山崎バニラさん」と紹介されているのが興味深いです。

私はこの曲を初めて聞いたときに体に電撃が走りました。それこそ肉ソングに興味を持つきっかけとなったわけです。その電撃の理由はこの曲の歌詞のすさまじさです。

元気 元気 今日も元気に牛はモーと鳴く
いつも牧場でおなかいっぱい 草をいっぱい食べてるよ
ぶらぶらしっぽ ブルンブルン ぶらぶらしっぽ ブルンブルン

まず、Aメロから牛のかわいさをアピールします。元気。そしてBメロで「ぶらぶらしっぽブルンブルン」と、そのかわいさを受けて、さらに発展させます。しかしです。そこからサビに入ると、富士急ハイランドのFUJIYAMAも真っ青の急転直下、突然そのかわいい対象を食べ始めます

すき焼きうまいよ 焼き肉もマンボ マンボ
牛(ギュウ)ちゃん牛ちゃん頑張るぞ 頑張るぞ
しゃぶしゃぶうまいよステーキもマンボ マンボ

モーモー もう一度お友達になってよね オレッ!

このサビの何よりもすごいのは、本当にピュアに肉食を推奨し、さらに、食べられるかわいい牛に対して「がんばるぞ」と促しているところです。

通常、これから食う対象に対して「がんばるぞ」とは声をかけない。捕食する立場からのただ事ではない強烈な上から目線。そして締めの「もう一度お友達になってよね」という自分本位な姿!これに興奮を覚えなくて何に興奮をしろというのでしょう。自分たちの肉食に対する逡巡を一切振り払う強烈なフックです。

この曲の作詞作曲は「およげ!たいやきくん」の佐瀬寿一・高田ひろおコンビ。思えば「およげ!たいやきくん」は食べられる側の諦観と自己承認の歌でした。それを通り抜けた上でのこの曲の捕食する側の吹っ切れたエゴの描き方。突き放した牛のかわいい描写。普通の神経をしていたら、曲の冒頭で「牛がかわいい」なんてことを歌ったりしません。このコンビ、やはり只者ではありません。

上記動画、最後にアナウンサーは「どのような気持ちでこの曲を歌われましたか?」と山崎バニラさんに聞きます。すると「すき焼き食べたいな~という気持ちで歌いました」と回答します。このやりとりは曲の姿をビビッドに際立たせています。

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これがマンボなのかどうかはともかく、曲としてのクオリティも高く、山崎バニラの強烈な歌声も一度聴いたら離れない。長く聞かれるべき名作だと思います。

なお、私の住む町の盆踊りは牛ちゃんマンボで踊る、ということを申し添えて本記事を締めくくらせていただきます。ありがとうございました。


coldsoup

自称ホームページ第3世代の旗手

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