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君はタイムマシンの存在を信じるか。

先日、夜の12時ごろ。新宿の居酒屋に行ったとき。

最初のビールを飲みながらメニューを眺めると、アジのなめろうがあった。私はなめろうに目がない。アジに生姜や大葉、味噌を混ぜグチョグチョにしたものだ。食べてよし、眺めてよし、舐めてよし(冗談でなく、本当に舐めるから「なめろう」なのだ。)と、素晴らしい食べ物だ。

思わず注文「すみませーん。」

にこやかな顔をした中国人店員がやってきた。「なめろうください。」

店員はにこやかな顔で復唱「なめろー」。

パタパタと去っていく。

彼のきびきびした働きぶりに感心しながら、キャベツをゴチャゴチャとあえた名前も付けられないお通しを食べながら待っていると、先ほどの中国人店員が戻ってきた。

テーブルの横までパタパタやってくる。「アノ」

私は彼に向きなおし、「なんですか?」

「なめろー、ないです」

無念。「あー、そうなんですか。」

「つてきます」

「は?」

「つてきますので、まててください」

釣ってくるらしい。

「がんばってください。」

「アイ」パタパタ。

よく分からないまま、追加で豆腐を頼み、言われたとおりしばらく待つことに。でも待て。ここは新宿で、海まで少なくとも30分以上はかかるのではないのか。往復で60分。釣る時間と料理する時間を考えても2時間以上はかかるのではないか。どうやってこのバレバレのウソをつくろうんだ。そう考えている間も彼はフロアをきびきびと歩き回っている。私は固い豆腐をさばり、さばりと捥ぎりとる。


30分後、何の予告もなく、違う日本人店員の手によってなめろうが運ばれてきた。中国人店員は相変わらずパタパタ歩き回っている。