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我が注意力



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写真は関係ありません。

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今朝、「大量の氷を、急いで歯で細かく砕かなくてはいけない」という事態に陥りました。

詳細は語りたくありませんし、今日語りたいのはこの事態に陥った理由ではありません。これを読んでいるみなさんは、「ああ、こいつは大量の氷を、急いで歯で細かく砕かなくてはいけない」事態に陥ったのだな、とただ字面通りに受け止めてください。

ほら、そうは言っても考えているでしょう。アイスピックとか無いのでしょうか。フォークとかいろいろ方法はあるでしょうに。かわいそうな人。

無駄です。その思いは早めに捨ててください。どうでもいいじゃないですか、そんなことは。人には知っていた方がいいことと、知らなくていいことがあります。

ラーメンが美味しいのは分かりますが、その原因を突き止めることは同業者でない限り野暮な行為です。ただ出されたラーメンを無言ですすることのみが、店主に対する敬意を表す行為です。それと同様に、当方を多少なりとも一個人として捉えてくれるなら、そっとしておいてほしい。そういった細かな優しさが人を強くします。

そういうわけで、本題に戻りますが、私はどうも集中力が通常の人に比べて著しく低いようです。

「大量の氷を、急いで歯で細かく砕かなくてはいけない」事態に陥った私は、1つづつ、なるべく唇に当てないよう氷を軽く噛み、ポリっと砕きます。ただひたすらにそれを続けます。

次第に迫る時間。もう家を出なくてはいけない。しかしまだ半分だ。焦りにより繊細な動きが無くなります。口の中に氷が入る。もういい!口の外に割れ落ちたものだけ使えば!

ひたすらに氷を割ります。噛みます。割れた氷をボールに入れます。口の中に入った氷は邪魔なので食べます。ボリボリ食べます。割れた氷をボールに入れます。口の中に入った氷は食べます。氷を入れます。食べます。食べます。氷うまい。氷を食べます。氷うまい。

気付いたら一切氷を割ることなく、口にひたすらに氷を突っ込んで咀嚼していたのです。

唖然としました。まだ口内に残る氷がシャリシャリと音を立てます。その音はまさに自分に対する絶望を一つ一つ奏でるようであり、苦痛に満ちたものでした。

ふとボールを見やる。目標の半分程度の氷がさみしく入っています。やってきてしまった目標時間。冷静になれ。今優先しなくてはいけないことは、会社に行くことだ。氷の件は仕方ないさ。ちょっと残念なことにはなるが、遅刻しないことの方が大事だ。

私は全く足りないその氷を目的のために使うことなく流しに捨て、自分を振り切るためにバッと家を出たのです。

駅に着いてからです。財布を持ってきていないことに気付いたのは。

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既視感のある方。本記事はこの方へのオマージュです。元記事の方が面白いということを言うのは野暮です。当方を多少なりとも一個人として捉えてくれるなら、そっとしておいてほしい。