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永遠の輪廻

地下鉄神楽坂駅の程近くに「竹ちゃん」という居酒屋がある。半年くらい前からこの辺りに来ることが増えたので、来るたびこの店にふらりと入る。店内は閑散としていて、東京の中心に近い街、神楽坂とは思えない場末の雰囲気が充満している。

妙に天井が高く、くすんだ色の店内。客はまばらでNEC製のテレビは幾分大きめの音を立てている。カウンターの奥には巨大なたこ焼き機がむっすりとたたずんでいる。このたこ焼き機は楕円形のくぼみを6つ程度備えた鉄板が縦に8枚並んだもので、それぞれの鉄板がキホー、キホーと寂しげな音を立てながらゆりかごのように前後に揺れる。その中を丸いたこ焼きがころころと転がるのである。

駆けつけ一杯を飲みながらなんとも雰囲気のいい店だ、と思う。

とはいっても、そんなことは単なる付加価値である。この店の特徴はなんと言っても「閉店セール」である。

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ビールが180円と破格に安いこの閉店セール。実のところ現在半年以上続いている。

写真をよく見ていただくと「11月も!」のところは張り紙で、その下を1枚めくるごとに、「10月も!」「9月も!」「8月」「7月」「6月」「5月」「4月」と書いてある色とりどりの張り紙が現れてくる。

実際のところ、この半年行き続けていつ行ってもビール180円である。

「いつ閉店するんですか?」と店員に聞いてみたところ、店員ははにかみながら「いやー。わかんないっす」と答えた。

それを聞いた私は2杯目のビールを飲みながらなんとも雰囲気のいい店だ、と思う。