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何も言わないでカントリーライス

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とある居酒屋に行ったところ、このようなメニューがあった。全体的に分かりやすいオーソドックスなメニューだが、ただひとつ、この左端あたりにある「カントリーライス」だけがよく分からない。

店内をせわしなく動いている店員のおばちゃんに聞いてみる。

「カントリーライスって何ですか」

「ああ、それ今ないの。」

「えー。いや、どんなのですか?」

「いや、今ないから〜」

そういいながらおばちゃんは去っていく。「ないから〜」の「ら〜」の部分から声がスーッとフェイドアウトする。

いっしょに飲んでた友人と目を見合わせた。「なぜカントリーライスが何かを言わない」お互いの目にそんな光がともっている。自然とカントリーライスの何たるか、で話が熱くなる。

「まず、ピラフは確実だろう。そこにこう肉が乗っている。」
「いやいや、マメを煮込んだのが乗っててちょっとピリ辛に仕上げてあるんだよ」
「トウモロコシは確実に入っているだろう。」
「それより、絶対ジャガイモのほうが必要だ。」
「まあ、少なくとも、生命維持に不可欠な行為に適した物体であることは確かだ。」
「それってつまり食べ物である、ってことだよね。」

一向に回答は出ない。会社に来ても気になるので、60歳になるよき先輩社員にも聞いてみた。すると一言。

「あれじゃねえか?シチューぶっかけ。」

あー、やべえ。食いたい。カントリーライスはそれで決定でいいです。
さすが先輩です。去っていく背中がいやに頼もしい。