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踊り

Yさんは「飲みに行きましょうか」と淡々と。

私がすぐ近くに見える焼き鳥屋を指差し「あそこでどうですか?」と聞くと

「僕は総合居酒屋のほうがいいです」

とのこと。

総合居酒屋。聞いたことのない言葉だが、対象とするものを明確にイメージの出来る言葉だ。この言葉は世の中に存在しているに違いない。そう思った私はこう返す。

「そうですよね。専門居酒屋は選択肢が少なくていけない」

しばらく店を物色しながらテクテクとと歩いていると「炭火だいにんぐ わたみん家」があった。私は「あそこなんかいいんじゃないですかね?」と提案してみるのだがYさんは「あそこは総合居酒屋ですか?」とあくまで総合居酒屋にこだわる。どうも「炭火」の部分が気になるようである。炭火で焼く焼き鳥がメインの店なのではないか、そんな懸念を持っているように見える。

「いやいや、バターコーンもあるし、刺身もあるので十分総合居酒屋だと思います」

「四万十川君が総合居酒屋というのなら総合居酒屋なんでしょう。」

「ええ。総合居酒屋です。」


双方納得の上、「総合居酒屋」へと入り、ビールとたこわさ、ポテトフライを頼む。ほどよく冷えたビールを喉の容量より少しだけ過剰に流し込み、たこわさをつまむ。

「ところで。」

「ええ。」

「総合居酒屋って何ですか?」

「いや、僕も今日初めてこの言葉を使いました。」


そうでしたか。という言葉を吐きながら、私は妙に早くやってきたポテトに箸をつっこんだ。