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だから、特集はいつ更新されるのか、と。

会社のエレベータに掃除魔がいる。
彼はいつもコキコキと音を立てながら扉や壁を磨き上げている。

彼は一度もボタンを押さない。人が呼んだ階にたどりつき、人が求めた階にたどりつくエレベータと一体になりながら扉を顔がボヤけずに写るくらい綺麗にしていく。

エレベータってのは自ら働きかけをしてこそ意味があるものだ。この階に行きたい!ってボタンを押さなきゃタダの箱。その中でじっと汚らしい布を持って何の働きかけもせず、他人の求めるがまま上下を繰り返す。そして、いつの間にかいなくなる。

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会社の向かいの歩道に掃除魔がいる。

会社の喫煙所からよく見える歩道には、毎日同じ初老の男性がいる。たぶん、誰かに雇われたというわけでもないのだろう。毛のほとんど抜け落ちた箒で道を掃く。かろうじて集まったカスを後生大事にビニール袋に入れる。道は全く綺麗になる気配を見せない。しかし、彼の中で満足のいったところで横断歩道を渡り(ときに箒でエアギターをしながら)、交番横の公衆トイレから水をくんできて、もといた歩道に戻る。

その水で大きな丸を描く。その丸はどんなに日中強く日がさしても、何故か一日中消えない。そして翌日同じように出来上がった丸と重なる。