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タナトす。

上野駅で階段を降りていたら、突如足の曲げ方を忘れてしまい、階段の中ほどで片足だけをぴいんと伸ばして静止してしまった。たぶんこれはあれと同じだ。

どんなに親しい友人の顔でも、まじまじと見ているとその顔が誰なのか分からなくなる。最初は正常に認識する部分は残っていて、「いや、こいつはキャシー中島だから!」というツッコミを絶えず続けるのだが、自分の背中の裏側だけが勝手にぐんぐん膨張するような違和感が襲う。しまいには、「キャシー中島?はて?」と思考停止が訪れる。

さらに見続けているとその顔のパーツが分離されて「何これ?」となってくる。「いやいや、これは鼻だから」と指摘する自らのバランス感覚も次第に崩れてきて、鼻を見て、鼻と認識しようと頑張るのに、「鼻かあ」と何か他人事のような思考しか頭に浮かばなくなってくる。

それと同じなんだと思う。足を曲げる。うん、これはこうやるんだよね、というのは片隅で分かっていても他人事のような気がして、それを実際に自分の足に伝えられない。

こういった現象は子供の頃に多く、成長するにつれなくなっていったが、最近またとみに増えだしてきている。何故かは分からないが、その頻度は増えるばかりだ。

子供の頃は「どうやって俺って息をしてたんだっけ?」という観念にとらわれて息苦しくなる状態がしょっちゅう訪れてきていたが、これが今、また訪れないように祈るばかりである。

なんせ、今日の私は階段の途中で1分くらい立ち止まったままだったからだ。

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いや、そんなこと言い出したら、それ以外にもいろんなことで死にそうだ。

「あれ?おしっこってどうやって出すんだっけ?」と思考停止して膀胱破裂で死亡

「あれ?タバコってどうやって消すんだっけ?」と思考停止して焼死。

「あれ?寒いときってどうすればいいんだっけ?」と思考停止して、北海道でホッケをにぎりしめながら凍死。

まこと生きていくのは難しいと言わざるを得ない。

なお、便秘の人も、「あれ?うんこってどうやるんだっけ?」と思考停止している状態なので、いずれ耄碌してくるとふん詰まりで死にます。