あだ名
高校に入学して、最初のクラス。
彼が期待に満ちた顔で座った席の椅子の裏には一行、「ダニエル」と彫り物がしてあった。
笑顔の素敵な彼。眼鏡のよく似合う彼。勉強はそこそこの彼。そんな素敵な特徴にも関わらず、彼はダニエルと呼ばれることとなった。同じクラスだった私でも私は彼の本名を知ることがないほど、彼はダニエルと呼ばれていたし、ダニエルであった。
2年生になって数ヶ月たったある日、彼は一度だけ私たちに抵抗したことがあった。彼は、突如として涙を流し、このように訴えてきた。
「俺はダニエルじゃない!町田だ!」
皆、ハハハ分かってないな、という顔をして
「ダニエル。お前はダニエルだよ。」
となだめる。ダニエルはシュンとして、一言つぶやく。「ダニエルじゃねえよ・・・」
私は今でも笑顔の素敵な眼鏡男児を見ると、「ダニエル」と思う。なんとなく、そういう心に引っかかる真実が残るだけ、私は彼のことがうらやましくなる。
はたから見たら、だけど。
彼が期待に満ちた顔で座った席の椅子の裏には一行、「ダニエル」と彫り物がしてあった。
笑顔の素敵な彼。眼鏡のよく似合う彼。勉強はそこそこの彼。そんな素敵な特徴にも関わらず、彼はダニエルと呼ばれることとなった。同じクラスだった私でも私は彼の本名を知ることがないほど、彼はダニエルと呼ばれていたし、ダニエルであった。
2年生になって数ヶ月たったある日、彼は一度だけ私たちに抵抗したことがあった。彼は、突如として涙を流し、このように訴えてきた。
「俺はダニエルじゃない!町田だ!」
皆、ハハハ分かってないな、という顔をして
「ダニエル。お前はダニエルだよ。」
となだめる。ダニエルはシュンとして、一言つぶやく。「ダニエルじゃねえよ・・・」
私は今でも笑顔の素敵な眼鏡男児を見ると、「ダニエル」と思う。なんとなく、そういう心に引っかかる真実が残るだけ、私は彼のことがうらやましくなる。
はたから見たら、だけど。