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不条理、徒労、シジフォスの神話のシミ

化粧品のCMの矢田亜希子のあの笑顔。前の「パッ」のときにわをかけてひどい。
綺麗な人だとは思うが、化粧品のCMだけなぜにこうも「たけしの的外れなボケに苦笑いで応えるダンカン」顔をできるのだろうか。




知人から聞いた内容なのでディティールに若干の違いがあろうとは思うんですが。


先日のラジオにマイナーなフォークデュオがゲストで出演していました。

レコードが出るまでの苦労話、最近気になること。司会は彼らから話題を引き出そうと努力するが、どちらかといえばつまらない回答を引き出すにとどまります。どうやら緊張しているようです。そうしていると早くも曲紹介の時間とあいなりました。司会は問います。

「この曲にはどんな意味をこめていますか?」

「最近友人がサラリーマンになったんです。」

「ハイ」

「で、しばらく働いてるんですけど、どんどん彼の性格が丸くなっていくんです」

「ホウ」

「悪い意味で」

「ハァ」

「そんな彼のために、丸くなってはダメだということを伝えたくて曲をつくりました。聞いてください。『立ち上がれ』」



プロモーション話のダシにされた友人の怒り、どれ程のものかと思います。しかし、ここで怒っては「丸くなってはダメだ」というフォークデュオの言いなりになってしまうし、かといって無視して黙っていても、彼に言われた「丸くなってしまった」という真実を認めてしまうことになります。いわゆるダブルバインド、二重拘束です。

自らの思いも知られず、自分に対して勝手なことを言い、自分のために作られたらしい歌をのうのうと歌う彼らを見ると、たぶん彼はやるせない気持ちを通り越し、ある種の諦観を感じることでしょう。それに抗うことははまるでシジフォスの神話。先の尖った山頂に丸い岩を運ぶことを要求されるようなものです。

ええ。彼はそんな思いを抱いているに違いありません。うん。絶対そうだ。そうだよね。分かるよその気持ち。僕もそうだ。

そういう思いを伝えたくて作りました。聞いてください。『僕という名の僕がいて、君という名の君がいる』



そういうダブルバインド。