ザ・ビジネスチャンス: 納涼パチンコ
いやあ、暑いですねえ。
とはいいつつも、市場は冷え込んでいたりして、あのパチンコ屋ですら徐々に店舗数を減らしているとのことです。
私自身、全くパチンコなどの賭博をやらない人間なんでよく分からないんですが、やっぱりあれですかね。いつ行こうともこう、チンチンジャラジャラとすごい音が鳴って、無機質な鉄の球がゴロンゴロン転がり落ちる。チューリップに入ることの出来なかった鉄の玉は一番下の穴にずるずる吸い込まれていく。熱くなっちゃった人たちはずんずん金をつぎ込む。そんな殺伐とした空間が、不景気になった人の心を荒ませているんじゃないすかね。
そこで考えたんですが、パチそうめんというのはどうでしょうか。
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右手のグリップを握り、右に傾けます。するとその角度にあわせた力で右下からニュッ、ニュッ、とさわやかなそうめんがしっかりした量の水とともに出てきます。力の入れ方によってはみょうがが混ざっていてもいいかもしれない。それはスペシャルな時!
そんなそうめんは、台の中頂点に達すると勢いを失って、不規則な軌道を描きながら釘の間をなめらかにぬって流れ落ちていきます。
ちょっと奮発するとそうめんを揖保の糸に変えることも出来たりするわけです。揖保の糸は通常のそうめん以上になめらかな動きで、釘の角に達するとズビチッといった鋭い音を立てて見事な流線を描いて流れ落ちていって耳と目を楽しませます。店内はこれまでのチンチンジャラジャラの音に変わって、チピチュッ、チュルッといった夏らしいさわやかな音に変わります。
そして、チューリップにそうめんがジュルッと入り込むと、手元から、ズババババババ、ズババババ、ビュルッといった勢いでスゴイ量の白いそうめんが出てきます。台をあやつる私は「おいおい、そんなの受けとめられないよ!待って、暴れ馬!」みたいな感じでドル箱をかざします。ズビチズビチと収まるそうめん!それを締める有料の氷!
となりのおっさん、手元にはティファールの湯沸かし器。なにするのかと思ったら、出てきたそうめんにお湯をかけてふやかして量をごまかそうとしているんですね。ジュルジュルになったそうめんでいっぱいのドル箱からは、白い湯気が立ち上ります。ふっかりしたその香りに私は鼻腔をくすぐられてハァンって顔になります。
が、それは重大な違反行為。店員が「にゅうめん禁止」の張り紙を指し示し、横から出てきた屈強な男どもにおっさんは両脇を抱えられて店の外へと連れ出されます。
夏の敵を追い出した店側の毅然とした態度に我々は安心して、右手をまわしてそうめんを勢い良くニュルニュルッと発するのです。
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そんなパチそうめん、涼しさに飢えた者どもが押し寄せると思うんですがね。どうでしょうか。