痕跡本:ホリエモンの新資本主義!
世の中には本にアンダーラインを引いたり書き込んだり切り抜いたりして、しかもそれを古本屋に売る人がいる。
そういったものを蒐集して「痕跡本」として愛でる方がいるそうで、大変下世話で素敵な趣味であるよなあ、と思っていたところ、偶然「痕跡本」が手に入ったので素直に紹介をしてみたいと思う。
タイトル:ホリエモンの新資本主義!
出版社 :光文社
発行日 :2005年5月5日
購入場所:ブックオフ 木場葛西橋通り店
購入金額:100円
※クリックすると画像が大きくなって見やすいです。
堀江貴文氏が絶大な人気を博していたころに発売された本。各項ごとに新資本主義的な3択の質問が出され、それに対する堀江の新資本主義的な回答が出される。200ページあるが、10分で読める名著である。
この表紙から、一体どんな人がこれを買うのだろうと訝しい気持ちになるが、古本屋にあるということは誰かの手に渡り、そして手放したということだ。資本主義はすごい。
「はじめに」を開くと、さっそく激しくラインが引かれている。よく見れば◎まで描いてある。重要と思われるところにつけたのだろうか。
主に堀江氏の言いたいことに線が引いてあるとは思うが、これだけ引けば、「言いたいこと」というより「言ってること」に線を引いているだけという気がする。しかし、うん。それにしても、ここはどうだ。
このフリガナは言ってみれば著者にとっては想定外であろう。
##
さて。気をとりなおして第一問目だ。ここから怒涛のアンダーライン(サイドライン?)攻勢が始まるのかと思うと、戦々恐々としてくる。
いきなり難問ではあるが、著者は明快な回答を出してくれるのだろう。そしてそこに激しい二重丸が記されているに違いない。
と思うと、一切アンダーラインは引かれていなかった。さては焦らしのすべを身につけた方なのだろうか。これ以降、数十ページに渡り、無言の状態が続く。ようやく発見できた次のラインはこれだ。
「生野菜を売っている」ことに二重丸。文節ごとに途切れるラインが、生野菜への興奮の息遣いを感じさせる。
1問1答形式の質問が一段落したところで、広報の乙部さんが出てきた。
質問には控えめだったラインがここで激しくぶり返している。
情報量が多いので箇条書きで失礼する。
・乙部さんは二重丸に足る人間である。
・うお座、ということには興味はないがB型ということには興味がある。
・お笑いライブやカラオケという親しみやすい趣味を持っていることに共感している。
・経歴、出勤時間には興味を持っている様子。
一体何を求めているのか、よくわからない。
続いて、秘書室の相沢さんが出てきた。相沢さんも二重丸だが興味を持った箇所は経歴だけのようだ。何が二重丸なのかが分からない。顔か。そのふっくらとして秘書然とした顔か。
とまあ、にわかに増えたラインも徐々に落ち着きを取り戻す。
せっかくライブドアフェニックスの話題になっても、ピクリともしない。幻の球団の名前をそのまま使ったアイドルユニットの名前なのに、ノーライン。
そして、書き込みのないまま最終ページにたどりつく。
最終ページに男臭い文字で怒涛の主張が展開される。これをこちら風に添削するとこうなる。
そして、最後は感涙にむせびながら大団円である。
元禄320年の現在から「こんにちは」しながら、本稿の筆を置きたい。
幸あらんことを。
そういったものを蒐集して「痕跡本」として愛でる方がいるそうで、大変下世話で素敵な趣味であるよなあ、と思っていたところ、偶然「痕跡本」が手に入ったので素直に紹介をしてみたいと思う。
タイトル:ホリエモンの新資本主義!
出版社 :光文社
発行日 :2005年5月5日
購入場所:ブックオフ 木場葛西橋通り店
購入金額:100円
※クリックすると画像が大きくなって見やすいです。
堀江貴文氏が絶大な人気を博していたころに発売された本。各項ごとに新資本主義的な3択の質問が出され、それに対する堀江の新資本主義的な回答が出される。200ページあるが、10分で読める名著である。
この表紙から、一体どんな人がこれを買うのだろうと訝しい気持ちになるが、古本屋にあるということは誰かの手に渡り、そして手放したということだ。資本主義はすごい。
「はじめに」を開くと、さっそく激しくラインが引かれている。よく見れば◎まで描いてある。重要と思われるところにつけたのだろうか。
主に堀江氏の言いたいことに線が引いてあるとは思うが、これだけ引けば、「言いたいこと」というより「言ってること」に線を引いているだけという気がする。しかし、うん。それにしても、ここはどうだ。
このフリガナは言ってみれば著者にとっては想定外であろう。
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さて。気をとりなおして第一問目だ。ここから怒涛のアンダーライン(サイドライン?)攻勢が始まるのかと思うと、戦々恐々としてくる。
いきなり難問ではあるが、著者は明快な回答を出してくれるのだろう。そしてそこに激しい二重丸が記されているに違いない。
と思うと、一切アンダーラインは引かれていなかった。さては焦らしのすべを身につけた方なのだろうか。これ以降、数十ページに渡り、無言の状態が続く。ようやく発見できた次のラインはこれだ。
「生野菜を売っている」ことに二重丸。文節ごとに途切れるラインが、生野菜への興奮の息遣いを感じさせる。
1問1答形式の質問が一段落したところで、広報の乙部さんが出てきた。
質問には控えめだったラインがここで激しくぶり返している。
情報量が多いので箇条書きで失礼する。
・乙部さんは二重丸に足る人間である。
・うお座、ということには興味はないがB型ということには興味がある。
・お笑いライブやカラオケという親しみやすい趣味を持っていることに共感している。
・経歴、出勤時間には興味を持っている様子。
一体何を求めているのか、よくわからない。
続いて、秘書室の相沢さんが出てきた。相沢さんも二重丸だが興味を持った箇所は経歴だけのようだ。何が二重丸なのかが分からない。顔か。そのふっくらとして秘書然とした顔か。
とまあ、にわかに増えたラインも徐々に落ち着きを取り戻す。
せっかくライブドアフェニックスの話題になっても、ピクリともしない。幻の球団の名前をそのまま使ったアイドルユニットの名前なのに、ノーライン。
そして、書き込みのないまま最終ページにたどりつく。
最終ページに男臭い文字で怒涛の主張が展開される。これをこちら風に添削するとこうなる。
そして、最後は感涙にむせびながら大団円である。
元禄320年の現在から「こんにちは」しながら、本稿の筆を置きたい。
幸あらんことを。