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危うくただれ死に

テーブルの上で「クポン!」という小気味よい破裂音がした。
何が起こったのか分からないまま周囲を見回していたら、頭の上にライターが降ってきた。

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突然の遭遇にSF的な混乱と興奮を覚えたのだが、落ち着いてライターを見ると、腹のあたりに小さな焦げ穴がある。そういえばさっきまで吸っていたタバコがないし、これはそのタバコをつけるのに使ったライターだ。この2つの手がかりから瞬く間に事の全容が見えてきた。

数分前、ライターでタバコをつけた私はそのライターを灰皿の脇に置いた。ひと吸いしてタバコを灰皿に置き、そのまま本を読む。本に夢中になり、吸われずに放置されたタバコは次第にその身の半分以上を灰にし、先端側の重量を軽くしていく。そして最後に灰皿の外側にころりと転がってしまった。それがうまくライターの上に乗ったのだろう。そして、タバコに残った火種がライターの腹を溶かし、中のオイルに引火してはじけとんだわけだ。



綺麗な放物線を描くライターの姿を思い浮かべ、「あぶねー」とつぶやきながらもう一本タバコを吸った。