今は昔
先日、終電を逃してしまったので友人と阿佐ヶ谷から新宿まで歩いた。トボトボ、トボトボと。その途中にこんなコインランドリーがあった。
廃墟然としたこの姿を見てなんとなく違和感があった。平成コインランドリー?ん、平成?
このコインランドリー、「平成」と名がついているからには年号が平成になって以後にできあがったのだろう。それにしてはいやに荒廃しすぎてないか。
平成になったのは1988年。年号の変更から数年も経って嬉々として自分の店に「平成」という名をつける人というのもいないだろうから、平成から程なくこのコインランドリーが出来上がったと考えられる。つまり1990年前後。
1990年っていうとどんな年だったか。当時の自分を思い返してみる。
・永六輔のトークライブに行って「川端康成の雪国の冒頭が天皇陛下だったらー」というネタで大笑いしていた。
・清水ミチコのものまねトークショーに行って、桜田淳子の真似で「桜田門外の変でーす」と言うネタで大笑いしていた。
・さだまさしのライブに行ってほとんど曲も聴かずにMCばかりを楽しみにしていた
・ウッチャンナンチャンとダウンタウンと清水ミチコと野沢直子が出ていた「夢で逢えたら」を眠い目をこすりながら見ていた。
余計分かりにくくなってしまった。
何はともあれ、16年という歳月はコインランドリーをここまで荒廃させてしまうものなのだ。永六輔を見てキャッキャ喜んでいた自分と同じ時間をすごしていたものがこうなっているのは、なんとなく空恐ろしい気になる。
中を覗いてみた。奥にある洗濯乾燥機の青いダイオードがピッコンピッコンと点滅を繰り返していた。