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エレベーター小話 その1

エレベーターに乗るとき、もうすぐ60歳になるよき先輩社員といっしょになった。私は目礼をしてから自分の目的地である「6F」を押し、続けて「閉」ボタンを押した。すると、

「コラッ!」

と叱責の声が飛んだ。振り返るとよき先輩社員が腰に手を当て、プンスカと怒りながらこっちを見ている。

「うわ、なんですか?」

「おめー、閉ボタンの前に階数のボタン押しただろ」

「ええ。」

「閉ボタン押してから階数のボタンを押した方が、早く扉が閉まるだろう。そうしないことによるロスでお前は何秒損していると思ってるんだ!」

「うーん、1回につきコンマ1秒くらいでしょうか?」

「それが積み重なってみろ!1億回エレベーターに乗ると1000万秒損することになる。」

「ハア」

「何光年だ!」

「ハ?」

「何光年か言ってみろ!」

「いや、光年は距離だと思いますが・・・」

「口答えするない!」

「すみません!」

「ともかく今後は先に閉ボタンを押すように!コンマ1秒とはいっても時間は大切だぞ!」

「ハイ」

で、目的階は一緒だったので共に降りると、よき先輩社員はすばやい足どりと無駄のないコーナリングで休憩室へと。私が自販機で缶コーヒーを買ってから休憩室を覗き込むと、既に寝息を立てていた。

見習わないとな、と思った。