立ち食いそば賛歌
先日、東京と千葉をつなぐ素敵な路線=京成線のとある駅のホームにある立ち食いそば屋に入った。店内には先客一人。コウーンという換気扇の音と不規則なリズムですすられるそばの音が響く。いい光景だ。
ほんのりとしたよい予感を抱きながらメニューを見る。
「かけそば 200円」
「わかめそば 250円」
「天ぷらそば 300円」
「スタミナそば 330円」
こだわりのラーメン店のようなメニューの少なさ。そしてその中にあるスタミナそば。
食べ物につく「スタミナ」の響きにはいつもワクワクさせられる。いいぞ。肉が乗っているのだろう。おつゆの味はくどいほどにしっかりとしていて、鼻腔をにんにくの香りがくすぐるのかもしれない。ぐちゃぐちゃの具の上に生卵がつるんと乗って、てっぺんで黄身を潰そうものならもはや目も当てられないようなスタミナ地獄が展開されるのだろう。
「ス、、スタミナそば!」
あーい、スタミナ一丁
先客の不規則で豪快なリズムはいつの間にか止み、どんぶりを持ち上げズズイとしている。まさに堂々たる最終楽章。入れ替わってけたたましく店員おばちゃんの作業音。
スットンガチャガチャとそばを湯に通し、器にのさっと入れる。そこに天ぷらを乗せパッパッパッとネギを入れた。最後に既に割って用意してあった生卵をずるり、おつゆをサー。
同時に先客、ボウッと声を出して器を下膳口に出し、足早に去っていく。「ありがとうございましたー」という声を境に、店内に換気扇の音だけの静寂が訪れた。トンと置かれるスタミナそば。
パキリと割り箸を割りながら舌なめずり。しかし、クッと覗き込んだそれは天玉そばだった。なんてことだ。スタミナはどこに行った!肉は?ぐちゃぐちゃは?私のスタミナ幻想は左端にたらりと乗った生卵と油をよく吸った天ぷらに委ねるしかないのか。
そもそも、これはいつもの朝飯じゃないか。
私は絶望に顔を曇らせながら、いつも通り天ぷらをくるりとそばの下に滑り込ませた。つかの間の別れの儀式。半分食べた頃にもろもろになった天ぷらと再開の儀式。でもなんとなく天ぷら本体にはあまり手を付けないダイエットの儀式。卵を最後につぶして味変えの儀式。(これを天玉そばの4儀式という)
これらを経ると、なんだかどうでもよくなって、どんぶりを持ち上げズズイと最終楽章。
ありがとうございましたー
ほんのりとしたよい予感を抱きながらメニューを見る。
「かけそば 200円」
「わかめそば 250円」
「天ぷらそば 300円」
「スタミナそば 330円」
こだわりのラーメン店のようなメニューの少なさ。そしてその中にあるスタミナそば。
食べ物につく「スタミナ」の響きにはいつもワクワクさせられる。いいぞ。肉が乗っているのだろう。おつゆの味はくどいほどにしっかりとしていて、鼻腔をにんにくの香りがくすぐるのかもしれない。ぐちゃぐちゃの具の上に生卵がつるんと乗って、てっぺんで黄身を潰そうものならもはや目も当てられないようなスタミナ地獄が展開されるのだろう。
「ス、、スタミナそば!」
あーい、スタミナ一丁
先客の不規則で豪快なリズムはいつの間にか止み、どんぶりを持ち上げズズイとしている。まさに堂々たる最終楽章。入れ替わってけたたましく店員おばちゃんの作業音。
スットンガチャガチャとそばを湯に通し、器にのさっと入れる。そこに天ぷらを乗せパッパッパッとネギを入れた。最後に既に割って用意してあった生卵をずるり、おつゆをサー。
同時に先客、ボウッと声を出して器を下膳口に出し、足早に去っていく。「ありがとうございましたー」という声を境に、店内に換気扇の音だけの静寂が訪れた。トンと置かれるスタミナそば。
パキリと割り箸を割りながら舌なめずり。しかし、クッと覗き込んだそれは天玉そばだった。なんてことだ。スタミナはどこに行った!肉は?ぐちゃぐちゃは?私のスタミナ幻想は左端にたらりと乗った生卵と油をよく吸った天ぷらに委ねるしかないのか。
そもそも、これはいつもの朝飯じゃないか。
私は絶望に顔を曇らせながら、いつも通り天ぷらをくるりとそばの下に滑り込ませた。つかの間の別れの儀式。半分食べた頃にもろもろになった天ぷらと再開の儀式。でもなんとなく天ぷら本体にはあまり手を付けないダイエットの儀式。卵を最後につぶして味変えの儀式。(これを天玉そばの4儀式という)
これらを経ると、なんだかどうでもよくなって、どんぶりを持ち上げズズイと最終楽章。
ありがとうございましたー