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自分の印象

週末は実家に帰省していた。

晩ご飯を食べ終え、まだ談笑している両親を置いて風呂に入る。
自分の部屋の寂しげで暗いユニットバスに比べ、家の風呂は広い。思わず「バフー」と声が出てしまう。

風呂で行う一通りの作業を終え、さっぱりとして風呂を出た。リビングまで戻るとまだ両親が談笑しているのが聞こえる。思わず戸の前で立ち止まり、盗み聞きをしてしまう。

「あの子は本当に勉強をしない子じゃったねえ。」

「ほうじゃのう。」

どうやら私の昔話をしているらしい。いっそう入りづらい。

「高校までは何もしなくてもそれなりの成績を残しとったけど、さすがに最後は落ちこぼれましたねえ」

「ほうじゃのう。」

確かに落ちこぼれて一浪したが、余計なお世話である。

「あと」

まだあるのか。

「セロハンテープが好きな子じゃったねえ」

なんだそれは。

「夏休みの工作は全部セロテープばっかりじゃし、一人暮らししとるときに破れたズボンも全部セロテープで補修しとったしねえ。」

確かに事実だが、それでセロハンテープが大好きな子になるのか。

「ようセロテープ食べとったしのう」

分かった!確かに俺はセロハンテープ大好きな男だった。確かにセロハンテープは甘くておいしかった!素材は樹脂だから健康の問題もそんなになかった!だから、もうこれ以上言わないでくれ!

ガチャーンとわざとらしく音を立てて戸を開け部屋に突入すると、両親はにこやかに他の話題へと移行していった。