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本当はもうあきらめてるんだ。

サイトがこんな内容でも呼んでくださっている方がいらっしゃるのには、本当に感謝の言葉しかございません。ありがとうございます。と、前置きまして。

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「階段落ち」という技があるそうだ。

絶頂に達しようかというところまで自らをしごき、あわや、というところで階段に頭からうつ伏せで滑り込む。あとは重力にまかせてその段差を激しく身に受けるうちに放出する、という体も衣服も心配な技である。

この技を知ってからというもの、その絵面を想像するだけで笑いがこみ上げて仕方がない。まさにそrを行っている人は、おそらく普通のジョブの数倍の苦悶の表情を浮かべているに違いないし、それが高速で落下していくのだ。一度、下から見てみたい。


"池田屋階段落ち"を描く『蒲田行進曲』
3階分もある高さを一直線に登る馬鹿でかい階段のセットなのだ。ここで「階段落ち」をやりましょう、と懇願する銀四郎に対し、監督が「俺だってやりたいんだよ。だけどこんな化け物みたいな階段を見て、東京から呼んだスタントマンもブルッて帰っちゃったんだ」と言い・・・


蒲田行進曲の「階段落ち」のエピソードを描いた文章も、読んでいて別の意味での畏敬の念が生じてくる。この記事ではさらにこう続ける。

ヤスは(一部略)階下で血塗れで倒れるが、一同が目を見張る中で再び起きあがり、階段を這い登りはじめる。そこで銀四郎が「カメラを回し続けろ!」と叫びつつ、ヤスに励ましの声をかける


がんばれ!がんばれ!もう1回だ!思わずこぶしに力が入る。でも顔は半笑い。

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ただ、考えてみれば私のような中流家庭の階段はものすごく急だ。頭から滑り込んで無事でいられるような、なだらかな階段を持つ家というのは相当の金持ちのものに違いない。45度の急傾斜を見て、「滑り落ちれば気持ちよさそう」などということを考えるような人間はまずいないだろう。

そういう意味で「階段落ち」は上流階級の戯れであろうと予測できる。

できれば螺旋階段でもチャレンジしてほしい。廻りながら落ち、達する。そこに自らの輪廻を重ね合わせてほしい。