蛙マラソン
写真は関係ありません。
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本日もあまり気持ちのいい話ではありません。
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一昨日は非常に温かい日で、ほぼ初夏の気温だったらしい。
陽気に誘われてTシャツ姿で近所の公園にある池周りを散歩していた友人は、途中ぐにゅりとしたものを踏んだ。とっさに踏んだ方の足から体重を外すと、その下には交尾中の牛蛙がいたそうだ。
幸いなことに蛙たちは友人の体重に負けることなく、多少ぼげっとしたへこみを見せただけで、そのまま営みを続けたとのことだ。
よかったよかった。よかったのは蛙が生きていたのもそうだが、友人が足で踏んづけたこともそうだ。
これが、その手前で転んでボディで潰していたらどうなっていたろう。当然ながら初夏の陽気に汗ばむTシャツに張り付いて、平面蛙のつがいとなってしまうではないか。
平面蛙は一匹だったからあの孤独な秩序が形成されていたわけであって、あの平面空間に2匹の蛙が存在してしまうと大変なことになってしまう。
まず、交尾中であることからして、その前後運動がうざったいことこの上ない。たぶん、それを着てマラソンに出場したら参考記録にしかならないくらいの前方への動力が生まれることだろう。
次に、その結果として遠からず卵を産む。その大量のにゅるにゅるしたものが激しい着心地の悪さの原因となるだろう。夏場はそのヒヤリとした感触が心地よいかもしれない。
さらにそれが孵化すれば大量のおたまじゃくしが天敵のいない平面を縦横無尽に泳ぎ回り、あたりかまわず足をはやしていくだろう。
そうして前面、背面を問わず蛙でびっしり埋まったTシャツが出来上がる。それを着てマラソンに出ると、全面で飛び出そうとする動きに捕らわれ、一歩も動きだせないのである。