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タナトス

夕方のホームで電車を待っていたら、向かいのホームで人が寝ていた。

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「黄色い線の内側までお下がりください」でお馴染みの黄色い線の少し内側に黒いカバンを置き、それを枕にして寝ている。

まあ、ホームで寝るというのは私もよくやる。別段めずらしくもない行為だ。(まあ、酔っ払えば、だけども。)

そうは言ってもこの人はすごい。まかり間違って寝たりして、足を伸ばしたらまず確実にホームからはみ出る。そこに電車がやってきたら足が飛ばされてダルマさんになってしまう。安らぎと危険が隣り合わせの、アップダウンの激しい命の使い方である。

快楽と危険というのは隣り合わせにすると両方を増幅させる力を持っているがはたして、安らぎと危険というのはどうなんだろう。

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というわけで、買った。水タバコ。ケース付きで1万円也。

吸えばボコボコと鳴る水の音。苦味のほとんどない甘い煙が口腔をくすぐる。暗い中で焚く炭はボウッとした明かりをあたりに投げかけ、心を静めさせる。

そんな心の安らぎをもたらす反面、炭で火を起こして、この不安定な細長い器具の上で焚くため、地震がおきたら元も子もない。というか、それ以上に酔っ払ってバタンと倒すともうダメだ。ウヒャヒャー火だ!火だ!とか言っている間に我が家のカーペットの床は瞬く間に火を広げていくだろう。

ある種、そこらも含めた「諦観」というあたりまで心を持っていければ。あるいは、ホームで寝ていた彼の境地には達せるのかもしれない。僕はヘタレだし、アパートに火を広げたら様々な人に迷惑をかけるだろうから、たぶん無理だろうけど。