<< 悪夢 | main | 思い切りのよさ >>

君は広島弁を見直すか?

最近はだんだんと過ごしやすい季節になってきまして。

季節に敏感な私めは、「あー、もう春じゃのう」と思うわけでございまして。まあ、そんな春にちょっといきつけの焼き鳥屋に入ってビールを一杯。

クーッ。

なまぬるい風と冷えたビールの愛称は非常によいわけでございます。あまりの機嫌のよさに普段は話しかけない焼き鳥屋の大将に一声かけてしまいます。


私 :「大将!今日のおすすめはなんじゃっ!」

大将:「ヘイッ、今日はいきのいいカエルがはいっております」

私 :「オウッ、まあ、あんたんとこは海のものとも山のものともつかんものを出すのう!」

大将:「ヘイッ、両生類ですから!」

私 :「まあええことよ。じゃカエルたのむわ。」

大将:「ヘイッ!カエル一丁!」

奥で大将が焼きにかかります。だらしなく伸びきったカエルの全身を丁寧に裏返し、表返し・・・とまあ地獄絵図のような光景が繰り返されたあと、私の前にこんがりと焼けたカエルが出てまいります。

大将:「ヘイッ!お待ち!塩ついてるんでそのまま食べてください」

私 :「オウオウッ、ハフッハフッ、うーん、パサパサしとるのう。」

大将:「まあ、それがカエルってもんでございますから」

私 :「いーや、にしてもパサパサしすぎじゃのう。味もなんちゅうか淡白じゃねえ。」

大将:「その味のない透明な感じがまたオトナにはよろしいもんでして」

私 :「その透明感は大人げない」

大将:「は?なんでございましょう?」

私 :「その透明感は大人げない」

大将:「ヘイッ!」

私 :「まあ、なんにせよこれはあんまりよくないカエルじゃろうが」

大将:「そんなはずはございませんぜ、もう活きは最高ですよ。とれたてピチピチ。」

私 :「いんや、前食ったのは鯛と鳥の相の子みたいでしっとりしてうまかったけえ。」

大将:「ヘェ」

私 :「あー、分かったわ。これはあれじゃの、冷凍じゃろ。」

大将:「あ、まあ、そうでございますが」

私 :「お、認めよった」

大将:「まあ、それだけに冬眠明けでございまして。」



おあとがよろしいようで。