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事故

とある宗教に入っている叔父から電話がかかってきた。会ったことはあるが、人生で初めて彼との電話というものをした。叔父は気さくでいい人である。しゃぶしゃぶ屋をやっているのでしゃぶしゃぶをおごってもらったりしたし、妙な人生経験をつんでいるのでその話も面白かった。

ただ、昔大学に合格したとき、「○○先生のおかげだねー」と言われたのには激怒したが。それは間違いなく大○先生じゃなくて、支えてくれた周囲の人と自分の実力によるものだ。感じ方は人それぞれだが、それを押し付けるやり方はいかがなものかなあ、と思うこともしばしば。


さて、電話自体は明るく進行した。私の体調を気遣ってくれたり、お互いの近況を話し合ったりして、思いのほか会話が盛り上がる。その会話の絶頂期に叔父がふっと切り出した。

「そんでなー、今度東京で選挙があるんやけど」

「ああー、すみません、俺、今は千葉に住んでますから。」

おそらく電話の向こうでフッと叔父の顔が曇ったんだと思う。落胆した声で

「そうか〜、そうか〜。あー。そうか〜」

とつぶやいたのを聞いて、口に含んでいた焼酎を吹いた。