年も明けて1月も終わろうとしておりますが、さすがに前編だけ書いて後編書かないというのは自分の中でも消化不良激しいということで、遅ればせながら後編を書かせていただきます!

前編はこちらから

住所不定無職低収入 – mei ehara

2024年後半に出たHOSONO HOUSE Coversの中から1曲、mei eharaの住所不定無職低収入。若いころは「住所不定無職でどうやって少ないながらも収入があるんだろうなあ」と思っていました。今は40代ですので、「いろんな方法があるよね」と思います。

それはともかくとして、カバーアルバムの中でもこちらのカバーは冒頭のチープなシンセとリズムのギミックで突然目が覚め、ギターの妙な粒が降ってきてそのリズムが際立ちます。怠惰な表情を出しつつも凛々しさの残るmei ehara氏の声の表情も素晴らしいバランスです。

攻めたリズムをやりつつこの曲の「なんか知性ありつつも怠惰な感じ」をまったく壊しておらず、どんだけクールなことやってんだ、と思いました。すげえなあ、でもこのリズム・・・って思って調べてみたらトリプルファイヤーの鳥居氏が関わっているんですよね。またお前かと。私は彼の手中でまんまと転がされているな、と思いました。ハイ。

Pickles & Statement ii – 天国姑娘

都内の男女混成のインディーズロックバンドですが、2曲どっちもめちゃくちゃよかったので、両方選出させていただきました。まずは聴いてみていただきたい。1曲目のPicklesは90年代のオルタナ感じさせる音作りで女性側のクールにだらっとした空気、フッフーッ!っていうコーラスのクソかわいさ、そして何よりカウベル。

このPVの飽食感といい、大変いい塩梅で、90年代に生きたおっさんはこういうの見たかったんや!みたいな鼻息荒い感じになってしまいます。こういうのがオシャレでかっこいいという認識で40代中盤まで来ました。本当に申し訳ありません。

2曲目のStatement iiについてはポストパンク風味のある疾走感のあるナンバーです。こちらには短めのライブ録画を貼っておりますが、ギターの音とかボーカルの声、堂々たるステージングがクールすぎて最高です。これは本当にライブみたいっす。でもおっさんが行くと浮くので遠くから見ます。

あと、このバンド、どっちの曲も英語がかっこいいんすよね。私はたいしてしゃべれないので発音がどうとかはよく分かりませんが、曲に対して映える発音が来ているため、単純に気持ちいいんですよね。それはすげえセンスなんだと思うんですよ。Pickles!

JADA – SuperBack

京都のDisco-PunkバンドSuperBackの代表曲。発表は2023年ですが、2024年発売の1stに入っているので2024年の作としてよいのです!この曲は完全にPolysicsフォロワーとしてのスタンスを爆発させていますが、声、シンセの音、リズムの区切り方など単純にニューウェーブ曲としての完成度が高い。

この方たちのアルバムを通して聴いていただけるとわかるのですが、ただのPolysicsフォロワーにとどまってないんです。アルバムの風味は2000年代のRadio 4とかThe Raptureとかのときのダンスパンクの熱狂と80年代和製ニューウェーブを合体させたような作風になってます。私はダンスパンクもニューウェーブもジャンルごと愛しているので、そこに向けて突っ走っていく彼らの姿は超まぶしい。絶賛応援中です。

縁歌 – キセル

キセルの年末に出た新曲は日本民謡風の曲で、全く想像していなかったためびっくりしました。とともに、熟練したミュージシャンのこういう音を待ってたのかもな、という思いにもなりました。朴とした歌声とギター、ピアノ、尺八(たぶん)がしみじみとした曲の完成度を高めています。

この曲はこのジャケのとおり兄弟がテーマとなっています。ライブ直前に弟さんがコロナで倒れたために、急遽1人でやることになったライブのために急遽作られた曲なのだそうです。歌詞では「溺れた海では肩掴まれた」なんて言いつつ、「お前が来なけりゃ始まらない」と言葉としてストレートに伝えており、なかなかできるもんではないな、と思いました。

でも、そのようなストレートなメッセージはこの民謡風の曲調になっているからこそ出来ているのかもしれません。普通のロック・ポップの曲調ではもっと詩のほうを婉曲に表現しないと恥ずかしくて歌えないところを、日本民謡のような語調・曲調にすることで普遍性と物語性(昔話性という造語でもいいけど)をまとわせています。これにより、素直なメッセージを届けることが逆説的に達成できているのではないかと思うのです。歌を歌う方としてとても洒落たメッセージの送り方だと思いました。

なお、この曲自体の響きが素敵なのでいい音で聴くのもよいのですが、AMラジオみたいなクソぼろいスピーカーとかで聴くと心にじんと沁みるので試してみていただければと思います(会社PCとか外付けディスプレイに間に合わせでつけられたスピーカーみたいなやつがオススメですね)。

あと、日本民謡で言うと、2024年末にバズった井上園子さんの「常磐炭坑節」も衝撃でしたね。ギターの立ち姿だけでヤベェやつ感が出る人は久々に見ました。

また、折坂悠太が「平成」以前に日本民謡と様々なジャンルを融合させていった時期のアプローチもめちゃくちゃ好きでした。今はそこから先に進んでしまわれているので、またこちらに興味が向いてくれることを草葉の陰からほんのり願っております。

2023年に拾い損ねた曲のコーナー!

本当にごめんなさい。2023年の時点で全く自分のアンテナに届いてこなくてようやく知って愛聴しているバンドも複数あります。こちらも拾わせてください。

I See Myself – Geese

昨年聴いて相当好き、かつあんまり国内でそこまで人気になっている感じも見かけないのでこちらでご紹介させていただきたいと思います。実にオールドかつストレートなロックですがマジでこのゴリラ。

すべてがゴリラです。Alabama Shakes のHold onを聞いたときにも感じた、抑制と動の落差!ゴリラ!みたいな感じが実に心地よいのです。まだ20代なったばっかりだそうですが、たぶん60年代~70年代のロックを愛してるんだろうなと思われる曲作りは、きっと渋谷陽一も喜んでいるでしょう、と思ったら実際喜んでたので笑いました。そうでしょうとも。

インターセクション – 171

ついでに2023年拾い損ねた曲をもう1曲。神戸発の171(いないち、と読みます)。これはとにかくベースヒーローですね。ギターの高速カッティングに必要以上にバッキバキに歪ませたベースが曲の疾走感を爆上げしていくこの曲は、そりゃいいですよ。ベースの方が歌い始めると想像以上に女性的な声音で、そのバッキバキのバッキングの凶悪さがいい感じに引き立てるわけです。うーん、大変バンドマジックを感じる作です。あと、ギターの人のギターの塗装の剥げ具合も最高です。

2024年ベストライブのコーナー!

昨年に引き続き、Tiny Desk Concertからの選出となりました!

年末に帰省したときに、姉が「エグいライブがある」と言って紹介してくれたライブです。Ca7riel &Paco Amoroso。「カスリエル」と読むんだと思います。たぶんです。アルゼンチンの方で、全く存じ上げませんでしたが、初めて聴いたやつを楽勝でぶっ飛ばすくらいのライブの完成度です。まあ四の五の言わずまずは見ていただければ。マジで熱い。

あと、この人の髪型、バッテリィズのエースと完全に一致していませんか。グローバルに来てるんですかね。全世界で同時多発的に見えると嬉しいです。

おわりに

前半書いた後、ミュージックマガジンの2024年ベストとかなりかぶっていて、なんかミュージックマガジンおじさんみたいな感じで悔しかったんですが、後編は好みに全振りして掲載させていただきました。どのアーティストもマジで応援したくなっており、この紹介によりさらに誰かに聞いてもらえることを期待しております。それでは。


coldsoup

自称ホームページ第3世代の旗手

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