愛でろ!梨!

梨はそんなに好きじゃない。特にまずい梨は実にまずい。シャクシャクしていてザラザラしている。(ちなみに、おいしい梨はおいしいからびっくりだ。)

でもその地味なたたずまいは好きだ。常にリンゴに似たものとして日陰者の扱い。色もリンゴの赤に比べて非常に地味でくすんでいる。リンゴジュースと聞くと甘酸っぱくみずみずしい液体を思い浮かべるが、ナシジュースと聞くと飲んだことはないのだが、なんだかシャバシャバとしてそうでおいしそうではないイメージだ。

それは近しいものへの愛情である。私もいつも日陰者、何かの中心になったことなんてない。高校のときはいつもクラスの片隅で一人UNOをしていたのだ。梨はこんな自分に似ていると思ったのだ。

さて、この梨、特産は鳥取県である。鳥取県は山陰地方。すでに土地の名前からして陰がついている。梨は陰であることを宿命付けられているといっていい。自分の仲間であることを改めて確認する。ハレかケだったらケだ。

だがしかし、鳥取県にはこの梨を称える施設がある。「鳥取二十世紀梨記念館」である。

梨。記念。

ごめん。梨に光があたるところもあったんだね。いつまでも日の当たらない自分を勝手に重ね合わせてごめん。君はヒーローだったんだね。なんだか自分から遠ざかっていってしまったような気がして、一抹の寂しさを禁じえない。

そんな憧れとか嫉妬とか同情とかいった気持ち。清算をつけるために実際に梨記念館を訪問してみた。


文責:四万十川篤彦(Web冷え汁管理人)


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