男一人、ムーミン谷(4ページ目)
●なんか,素敵なかんじだった.

1階に戻り,室内を歩く.なんか,よくわからないけど素敵な感じだ.ハートウォーミングだ.

私なんてあまりのハートウォーミングさに,左手に持っていたカウンターで音を立ててカチカチカチカチと鳥を数えたりした.

それはバードウォッチングだ.

ムーミン屋敷の中はとにかく細部まで凝ったつくり.たくさんの狭い空間や,大人が通れるはずもない通路が存在しており,ムーミンの異常な柔軟性を感じさせた.

我を忘れて小さい引き戸とか開けてみる.すると,引き戸の向こう側から,同じように引き戸を開けようとした人がいたりして目が合う.

あ,こうなってるんですね.なんて苦笑い.

中はこんな感じだ.


こんな座敷牢みたいな部屋がいっぱい

●生活もしてた.

どこを探しても,地下のムーミン以外にムーミンがいないが,彼が生活している様子はキッチンから察しがつく.

水道からは水が出るし,オーブンはいつでも火がつけられそうだ.彼らは本当にいるんじゃないか,って思わせる.テーブルの上には「禁煙」と書いた札もおいてあり,彼らの健康への気の使い振りがよく分かる.

でも,当の得体の知れない生き物は一切いない.釣り堀にでも行ってるんだろうか.いるのはおばちゃんと子どもだ.スニフぐらいいたっていいのに.

なんか,もう信じるのやめよう.カバごときに振り回されるのはもうやめだ.

カバじゃないけど.

一人がだんだん身にしみてきたのでムーミン屋敷から外に出た.


キッチンはこんな感じだ.


ここでムーミンは人肉饅頭とかをつくる.


ここで,ムーミンは丸い顔を洗う.

洗面所の引き出しを開けると掃除機がある.

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