男一人、ムーミン谷(5ページ目)
●空気はうまいんじゃないかな.

外に出て,歩いて分かったのだが,ここは別にムーミン谷ではない.

ムーミン屋敷のある公園だ.凝った造形の建物は一杯建っているものの,ムーミンに関連したものは,屋敷と桟橋くらいのものだ.うわずっていた気持ちは一気に沈む.そうさ.勘違いしていた私が悪いのさ.ムーミンいないし.

25歳男,一人公園の石を蹴る.トーベ・ヤンソン資料館も今の私には無用の長物.

メルヘンなんてない.なんとなく,「チアリーダー大好き」とつぶやいてみた.


ムーミン屋敷は別アングルでもやっぱりキノコ頭.(カーソルを上に置くとキノコ顔を示します)


よどんだ池に自分の顔を映してみる.

●さあ,帰ろう

一通り公園を見終えた私は帰路に着く.もうあたりは真っ暗だ.なんだかんだ言って真っ暗になるまで歩いたのだ.足がそろそろ疲れてきた.

と,突然,視界に白く光る細長い物体が.

あ,ニョロニョロ!

そう思ったら柵だった.

あー,いないいない.いないですよ.スニフすらいない.こうして私は現実から現実へ帰っていくんです.

公園出口にある売店で,サクマドロップスムーミン仕様を購入.

開けにくい缶を開けて出てきたのは緑色のメロン味.暗がりの中,口に放り込むと,嫌いなきゅうりの味がした.


●終わりに
帰りに,すぐ近くにある駿河台大学という,名前も聞いたことのない大学に立ち寄って,大学生のふりをしてみた.

なんか,近くでは,何かのサークルが会合をしている.主将らしき人が力強い口調で今日の大会の反省を口にする.負けたんだ.

それを見ながら,「ムーミン谷,ほんとに行ったよ」,なんて,ここを紹介してくれた友人にメールをすると,

「どう?童心に帰れた?」

って返ってきた.

なんか,口を濁した.


というわけで,これ読んでムーミン谷行ってみたいと思った方,行ってみたらどうでしょうか.一応フォロー.

終わり.

ニョロニョロか!



寄り添うふたり



駿河台大学なる大学の裏山に輝く「駿」の文字.ここまでやると,途方もない冗談のような気がする.



プヒー

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