日記
◆心づくし
広島でふと入った飲み屋が非常に居心地がよかった。割烹着を着た非常に動作のきびきびしたお姉さんと、威勢はいいがうるさくない店員とのコンビネーションにまず納得、そして、うまい魚とうまい飯に舌鼓を打ったものだ。

店の心遣いはさまざまなところに及んでいたが、いちばん感嘆したのはお手洗いであった。

「ご自由にお使いください」という手書きの張り紙の下にさまざまな品が置いてある。あせふきシート、口臭予防のモンダミン、綿棒、コットン。男にはおおよそ関係ないものが多いが、女性だとうれしい気遣いに違いない。

そのブースの左端にはしっとりと、しかし強い存在感を持って籐箱がたたずんでいた。上部には「お困りの際、お使いください」と一言。店の心づくしに関心していた私は、ここでまたどのようなものを見ることができるのか気になった。誰が聞いているというわけでもなく、

「困った困った」

と、つぶやきながら箱の蓋をあけてみた。淡い白熱灯の光に照らされた内部には、白く輝く女性用生理ナプキンが行儀よく並んでいる。思わぬものが出てきて狼狽した私は悔恨の念を覚え、

「困った困った」

とつぶやきながら蓋を閉める。すると、再び蓋の上部の「お困りの際、お使いください」の表記が目に入る。俺は生理用ナプキンに慣れるまでこの無限のループにとりこまれるのか。そんな愚にもつかない考えをよぎらせながらもう一度だけ箱を開け、中を確認してからお手洗いを出た。

2004-9-20 (Mon)
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