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ばっかり撮る考

「女はカメラを持つと猫、犬、空、カプチーノ、小さいサボテンばっかり撮る」とはお笑い芸人でカメラが趣味の小籔千豊の言葉で、その絶妙なチョイスにわっはっはと笑ったものだ。

しかしそれを言ってしまえば公園をふらふらするおっさんは花や鳥ばっかり撮るし、山を登るおっさんは高山植物や滝ばっかりだし、親は子どもの写真ばっかりだし、20代の男のスマートフォンの写真はラーメンとつけめんの写真ばっかりだ。

  • この文章を読んでいる女子に彼氏がいたら、その彼のスマートフォンの写真を見てみるがいい。確実に複数のラーメン写真を視認することが出来るだろう。なお、湯気を立てながら麺を持ち上げるところを撮っていたらかなりの末期であると申し添えておく。これを「麺リフトアップ」と呼ぶ。
  • 女性は顔のリフトアップにご執心であり、ラーメンマニアは麺のリフトアップにご執心である。

同様に、この「ばっかり撮る」のは私も含む路上観察趣味者についても例外ではない。私の推測するに、どの路上観察趣味者も壁と看板と建造物ばっかり撮っているのではないかと思う。「壁」と「建造物」がかぶっているような気がするが気にしない。それぞれの特殊な専門がある場合もあるが、それ以外で撮るものといえば壁と看板と建造物ばっかりである。もはや断言する。

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つまるところ何が言いたいかというと、どんな趣味嗜好を持とうが、誰かが何かを撮ろうとするとばっかり撮るのであり、そのばっかり撮ることの熱量が面白いことに気づくべきだ、ということだ。先人がもうそれはやったとか、ありきたりな趣味であるとか貶したところで関係ない。それらの「ばっかり撮」られたものを集めて並べると、そこには等しく強烈な欲望と収集への誘惑がかいま見られてくるのだ。これがとてつもなく美しいのだ。

というクドクドとした言い訳を重ねた上で当サイトではこれまで撮りためた壁の写真をアップする。

なお、私の10年来のお友達に毎日のように同じ自動販売機の写真を撮り続けている人がいるが、そこまでいくと熱量云々を超えて行き過ぎであり、面白すぎる。そういうわけで、小さいサボテンやカプチーノを毎日撮り続ける女の出現が待たれるのである。

 


代官山の壁と階段

代官山という町は東京の東側住まいの人間としてあまり縁がないし、ともすればおしゃれでいけ好かない町と捉えてしまいたい誘惑にかられるのだが、この壁と階段を見つけて自分の浅薄さを痛いほど感じたのだった。

私の推測するに、この壁の持ち主は配置がどうあるべきかを分かっているし、歪んだ直線の美しさも分かっている。(誰ですか。歪んだら直線ではないという人は。)

配置でいうと真ん中の鉢がやはりよい。色の白・茶・白、植物のアリ、ナシ、アリ。その上をぶった切る階段の直線、左を飾る歪んだ曲線。下を支えるパイプのひかえ目。全てが完璧で持ち主の作為まで想像してしまうのだ。そういった作為も含めて世の中の痕跡として面白がれるなら、色んなものが色づいて見えてくるのだろうなあ。でも代官山はいけ好かないなあ、と思ったのだ。